こんばんは。
先日受講した研修で学んだことを通して、自治体の財政状況について自分なりに調査・整理した内容を掲載しておきます。
主に総務省のHPからの情報を元にしております。
地方自治体財政指標について
まず始めに、自治体財政を分析する上で知っておくべき用語を整理しておきます。
①形式収支
形式収支 = 歳入総額 ー 歳出総額
- 歳入総額から歳出総額を単純に差し引いた歳入歳出差引額のこと
- 歳入総額には前年度の繰越金も含まれるので通常はプラスとなる
- 形式収支がマイナスの場合には翌年度の歳入を繰上充用する
②実質収支
実質収支 = 形式収支 ー 翌年度に繰越すべき財源
- 当該会計年度の実質的な黒字額あるいは赤字額を示す
- 歳入に見合った歳出が執行されるのが望ましいため、黒字額が大きければ良いというものでもない
③単年度収支
単年度収支 = 当該年度の実質収支 ー 前年度の実質収支
- 実質収支は過去の収支の累積のため、その影響を控除した単年度の収支のこと
- 租税を徴収する統治団体としては単年度収支が黒字になり続けるのは推奨されず、一定の期間をおいて赤字になるのが健全である
- 行政水準の引き上げや租税等の引き下げによって市民に還元することで単年度収支を赤字にすることができる
④実質単年度収支
実質単年度収支 = 単年度収支 + 積立金 + 繰上償還金 ー 積立金取崩し額
- 黒字・赤字の各要素が歳入歳出面に措置されなかったとした場合、単年度の収支がどのようになるかを捉えるための指標
⑤標準財政規模
- 地方自治体の標準的な状態で通常収入されるであろう経常的一般財源の規模を示すもの
⑥実質収支比率
実質収支比率(%) = 実質収支 / 標準財政規模 × 100
- 実質収支の標準財政規模に対する割合で、実質収支比率が正数の場合は実質収支の黒字、負数の場合は赤字を示す
- 実質収支比率としては概ね3〜5%程度が望ましい
⑦経常収支比率
経常収支比率(%) = 経常経費充当一般財源 / (経常一般財源 + 減税補填債 + 臨時財政対策債) × 100
- 地方自治体の財政構造の弾力性を判断するための指標で、人件費、扶助費、公債費のように毎年度経常的に支出される経費(経常経費充当一般財源)が大きいほど比率が高くなる
- 比率が高いほど硬直した財政構造となり、社会資本整備や地方債償還に充てられる資金の割合が少ないことを示す
- 地方自治体では75%以下が望ましいとされているが、平成25年度の地方公共団体全体の経常収支比率は91.6%となっており、硬直的な地方財政が続いている状況である
⑧財政力指数
財政力指数 = 基準財政収入額 / 基準財政需要額
- 基準財政収入額は標準的な行政サービスを提供するのに必要な一般財源の額
- 基準財政需要額は標準的な状態において徴収が見込まれる税収入額
- 過去3年間の平均値を用い、潜在的な財政の余裕度を表した指標である
- 指数が1未満の自治体へは地方交付税が交付されるが、1を超えると地方交付税が交付されなくなる
⑨公債費負担比率
公債費負担比率(%) = 公債費充当一般財源 / 一般財源総額 × 100
- 公債費に充当された一般財源の一般財源総額に対する割合のことで比率が高いほど財政運営の硬直性が高まっている
- 一般的には、財政運営上15%が警戒ライン、20%が危険ラインと言われる
⑩実質赤字比率
実質赤字比率(%) = 実質赤字 / 標準財政規模 × 100
- ⑥実質収支比率と同様の算出方法で、収支が赤字の場合のことを示す
- 地方自治体の一般会計等の赤字の程度を指標化したもので、財政運営の悪化の度合いを示す
⑪連結実質赤字比率
連結実質赤字比率(%) = 実質赤字 / 標準財政規模 × 100
- ⑩実質赤字比率と同様の算出方法で、「公営企業を含む地方自治体の全会計」に対する赤字の比率を示す
⑫実質公債費比率
実質公債費比率(%) = ((元利償還金 + 準元利償還金) ー (特定財源 + 元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額)) / (標準財政規模 ー (元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額算入額)) × 100
- 借入金(地方債)の返済額(公債費)の大きさを自治体の財政規模に対する割合を示したもの
- 18%以上で起債許可団体、25%以上で早期健全化団体となり単独公共事業の起債制限、35%以上で一般公共事業の起債も一部制限される
⑬将来負担比率
将来負担比率(%) = (将来負担額 ー (充当可能基金学 + 特定財源見込額 + 地方債現在高等に係る基準財政需要額算入見込額)) / (標準財政規模 ー (元利償還金・準元利償還金に係る基準財政需要額)) × 100
- 自治体の借入金(地方債)等現在の負債の大きさを、財政規模に対する割合で示したもの
- 比率が高いほど将来財政を圧迫する可能性があり、都道府県では400%、市町村では350%以上になると早期健全化団体となる
⑩〜⑬の4つの指標の総称が「健全化判断比率」と言われる。財政の早期健全化等の必要性を判断するものであるとともに、他団体と比較することで、当該団体の財政状況を客観的に示すことができる。
財政状況資料集について
財政状況資料集の概要
国・地方の財政状況は引き続き厳しい状況にあり、歳出削減等を進めて財政健全化を図ることが喫緊の課題となっている中で、地方公共団体が健全な財政運営を行うためには、住民や議会等の理解を得られるように、財政の状況及び分析に関する情報をできる限り正確に、かつ、わかりやすく公表することが重要となっています。
より有用な財政情報の開示にするため、平成22年度決算分から新たに「財政状況資料集」として再編成を行いました。 – 総務省:財政状況資料集より
今回は説明のために「愛知県新城市」の財政状況資料集を使用しますが、各自治体の資料もダウンロード可能ですのでご覧ください。
総務省:平成27年度決算財政状況資料集
■財政状況資料集 総括表全体
■財政指標部分抜粋
①〜⑬の指標が上記の「地方自治体財政指標」で説明したものに対応しています。
つまり、財政状況資料集総括表のこれらの数値を見ることによって財政状況をある程度分析することができます。
また、財政状況資料集のExcelファイルの別シートには「普通会計の状況」「各会計、関係団体の財政状況及び健全化判断比率」「財政比較分析表」「経常経費分析表(経常収支比率の分析)」「経常経費分析表(人件費・公債費・普通建設事業費の分析)」「性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)」「目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)」「実質収支比率等に係る経年分析」「連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析」といった細やかな情報が掲載されているため、より詳細な分析をすることができます。
特に「財政比較分析表」には各団体の財政指標値をピックアップしてその値を全国平均等と比較して現状と今後の展望についてコメントが記載されているため、理解に役立つかと思います。
■財政比較分析表
私自身もこれらの財政指標をより深く分析し、これからの新城市のまちの姿を思い描いてまいります。
財政についてはまだまだ理解する必要があるものが多くあるかと思いますので、引き続き勉強を継続していきたいです。
それでは、また明日!
新城市の人件費が多すぎる。無駄な仕事が多すぎる。残業代も億単位だと聞く。
職員はもちろん、何も仕事していない市議会議員数も減らすべきだ。
一市民さん
初めまして。
私も一般企業で働いてきた身としては、残業時間の削減に繋がるような業務効率化が必要だと感じています。
まずは、正味作業・付随作業・無駄作業を分析した上で対応を検討していくべきかと思います。
人口減少の中で議員定数についても、今後議論の場にあがってくるはずです。